『転職したらスクラムだった件』

「ガチガチのウォーターフォールで育った僕が転職をきっかけにスクラムを経験し一人前のスクラムマスターになるまでの成長物語」(フィクションです)

謝辞
https://twitter.com/ykmc09/status/1051652667808739328 がきっかけ
タイトルの元ネタはライトノベル『転生したらスライムだった件』by 伏瀬

- - -

僕は(今思えばとってもレガシーな)受託開発会社でプログラマを4年、SEを2年ほど経験し、デスマーチに次ぐデスマーチの結果、残念ながら心身ともに壊れてしまい半年間ほど休職。今は知人の紹介で新しい会社へ転職したアラサー男子だ。

新しい会社は知人によると「みんな楽しそうに仕事してるよ」とのことだが、仕事が楽しいわけなんてないだろ?と思いつつ、引きこもりにならなくて済んだ安堵と新しい環境への不安を抱えながら初日を迎えたのを覚えている。

新しい会社はやたら開放感のあるオフィスで今どきって感じだった。前の会社では狭い部屋に詰め込まれて窮屈ではあったが、それはそれで外敵から守られたような感じがして居心地は悪くなかった(今思えば人道的に褒められた環境ではなかったのかもしれないが)。

僕が配属されたのは地方にある特産品販売店の販売管理システムを受託開発しているチームで、僕を入れて7人。朝会が行われた。朝会は前の会社でもやっていた。みんな下を向いて淡々と報告するだけの無駄な時間。だが、どうも様子が違う、、、。なんだろう?みんな活き活きとした表情で、話し手はみんなのリアクションを確認するように表情を見、聞き手もみんなうんうんと相槌している。こんな明るい朝会は初めてだ。【デイリースクラム】と言うらしい。

事前に【スクラム】を学んでおいてくれとも言われたし研修でも説明があったが、僕が配属されたチームは【アジャイル】の中でもスクラムという開発手法を採用しているとのこと。当たり前と思っていた【ウォーターフォール】以外に開発手法があるということを初めて知った。当時はアジャイル的な考え方にまったくついていけてなかった。天動説が地動説になるくらいのインパクトだった。

立ったまま行う15分程度の打ち合わせデイリースクラムでは、それぞれ昨日やったこと今日やることを報告していたが、メンバーのひとりが「今のタスクが想定外に時間がかかり間に合いそうにない」と告白した。これはマズイ、初日から怒号が飛ぶぞ、嫌だな、そう思ったのだが実際にはそうはならなかった。「私、前倒しで進んでるので仙崎さんの残りのタスク引き取りますよ」そんな感じで迅速にその場が収まった。僕の知っている会議は、やれ誰の責任だ!やれ間に合わなかったらどうするんだ!などと生産性のない怒号が鳴り響きそれに関係ないみんなが付き合わされる。

このチームでは毎週水曜日に【スプリントプランニング】をしていて一週間の【スプリント】とのこと。ふむふむ、一週間毎に計画を立てているんだな。これくらいは勉強してきたさ。僕が入社したタイミングが月曜日。ひとまずタスクらしいタスクはまだない。前回のスプリントプランニングには参加していないからね。デイリースクラムが終わったら【スクラムマスター】の長門さんから声をかけられ付箋紙がたくさん貼られた壁の前に立つ。これがあの【カンバン】か、書籍で知ったけど実際に見てみるとなんだか遊んでるようにも見えるw

僕の最初のタスクは環境構築だった。僕のタスクを書いた付箋紙が Todo 欄に貼られた。その後に僕が Doing 欄に移して着手し、環境構築が終わるとともに Done 欄に移した。他のメンバーのタスクも貼り出されている。誰がどんな仕事をするのか一目瞭然だ。だから偉い人が進捗を聞きに来て僕の作業の手を止めるなんてことはない。誰でもカンバンを見ることができるし見れば状況がわかるんだ。

水曜日、初めてスプリントプランニングに参加する。スクラムマスター長門さんの【ファシリテーション】のもと、【プロダクトオーナー】の湯本さんが【プロダクトバックログ】から優先順位の高い順に説明していく。メンバー全員で【受け入れ基準】について話し合い、全員で【プランニングポーカー】をして見積りを出す。なんでもみんなで決めるのが新鮮だった。誰かが決めたことを一方的に命令されてこなすのではなく、チーム全員がそのプロダクトを自分事として真剣に考え行動する。何よりもみんなで一丸となって問題と向き合ってる感じが良い。

気がつけば僕は、いつの間にか仕事が楽しいと感じるようになっていた。いよいよ僕の、最初のスプリントが始まる!!(、、、その後、僕がスクラムマスターになってチームビルディングで失敗したり顧客との関係性がうまく構築できなかったりした話もあるんだけれど、それはここではパーキングロッドということで、、、)

- - -

※合わせて読みたい
認定スクラムマスタ―研修@大阪(2017年5月)に行ってきた

かわのくんとは

Web系IT企業でプログラミングやマネジメントをしています。趣味で音楽を少々。

Youtubeでライブ動画配信中

Ustreamでライブ動画配信中

スマートフォン向けにPCサイトを自動変換(コンバート)する『CONV2SP』 CSS作成支援ツール『CSSツクール』